イヤホンの箱に入っていた小さなゴムの替えを、そのまましまっていませんか。あれがイヤーピースで、カナル型イヤホンの先に付いて耳の穴をふさぐ部品です。低音が薄い、耳が痛い、歩くと外れる、ノイズキャンセリングが効かない、この4つはたいていイヤーピースのサイズか素材が合っていないだけで起きます。ソニーの公式案内と、ラディウス、nwm、K-LIFE、ながら聴きガイドの記事をもとに、役割、素材、形、サイズの決め方、替え時まで書きました。
耳の穴をふさいで音を届ける部品
イヤーピースとは、イヤホン本体の先端に付けるゴム状の部品で、イヤーチップとも呼ばれます。耳の穴とイヤホンのあいだのすき間を埋めて、音を耳の奥まで届け、外の音を遮り、イヤホンを耳に固定するのが役割です。カナル型と呼ばれる、耳の穴に差し込む型のイヤホンに付いています。
ラディウスの案内では、材質やサイズによって音質に影響する重要なパーツと説明されています。同じイヤホンでも、イヤーピースを替えるだけで低音の量と外の音の聞こえ方が変わります。イヤホンを買い替える前に、まずここを見直すのが順番です。
付属のイヤーピースは、S、M、Lの3サイズが普通で、SSやLLまで入っている物もあります。買ったときに本体に付いているのはMサイズが多く、ソニーの案内でもMサイズが装着された状態で売られているとしています。残りのサイズは予備ではなく、自分の耳に合わせて選ぶための物です。
合わないと低音が抜けて耳が痛くなる
サイズが合っていないと、音と着け心地の両方に出ます。小さいと低音が抜けて軽い音になり、外の音が入り、歩くと外れます。大きいと耳が痛くなり、先端が耳の中でつぶれて音がこもります。nwmの案内では、大きすぎる場合に密閉が足りなくなって音が外に漏れる、ともされています。
ノイズキャンセリングが効かないと感じるときも、まずサイズを疑います。すき間があると外の音がそのまま入るので、イヤホンの機能では消しきれません。ソニーの案内でも、ノイズキャンセリングの効果と、音楽の低音がしっかり聞こえるかを確かめるようにと書かれています。
合っているときのサインは4つです。低音が安定して出る、頭を振ってもずれない、外の音が減る、30分着けても痛くない。この4つがそろえば、そのサイズで合っています。
素材はシリコンが基本、遮音ならフォーム
素材はシリコンとフォーム(低反発のウレタン)の2つが主で、ほかにTPEやハイブリッドと呼ばれる物があります。迷ったらシリコン、電車や飛行機で外の音を減らしたいならフォーム、この分け方で足ります。
| 素材 | 音と着け心地 | 手入れ | 替え時の目安 |
|---|---|---|---|
| シリコン | クセが少ない。長持ちする | 水洗いできる | 半年〜1年 |
| フォーム | 耳の形に合わせてふくらむ。遮音と低音が強く、高音は少し減る | 洗えない | 2〜3か月 |
| TPE・ハイブリッド | 体温でやわらかくなり耳に沿う。シリコンで痛い人向け | 製品の案内に従う | 製品の案内に従う |
シリコンは耐久性が高く、水洗いできて、音のクセが少ないのが利点です。フォームは指でつぶして耳に入れると、中でふくらんで耳の形に合います。その分ほこりや皮脂を吸って傷みやすく、洗えないので2〜3か月で替えます。
フォームは伸びにくいので、ノズルの太さが合わないと付きません。買う前に、自分のイヤホンに対応しているかをメーカーの対応表で見てください。ソニーの一部の機種のように、シリコンとフォームを組み合わせた独自の素材を付属させている物もあります。
傘の形と穴の広さで音が変わる
同じ素材でも、傘の形、軸の長さ、穴の広さで音は変わります。穴が広いと高音が前に出て抜けが良くなり、狭いと高音の刺さりが減って聴きやすくなります。軸が長いと耳の中で位置が安定して低音が保たれ、短いと入れる感じは軽いけれど密閉が崩れやすくなります。
形は、丸みのある砲弾型が標準で、圧迫感が少なくどの耳にも合いやすい型です。傘が2段、3段になったフランジ型は、耳の中でしっかり固定されて遮音が強く、音漏れも少ない反面、圧迫感が出ることがあります。傘の硬さは、硬いほど密閉しやすく、やわらかいほど長く着けても疲れにくい傾向です。
選ぶ順番は、密閉できるサイズ、軸の長さ、穴の広さの順です。K-LIFEの案内でも、密閉、軸長、ボア径の順に決めると失敗しにくいとしています。高音が刺さると感じたら穴の狭い物、こもると感じたら穴の広い物に替えます。
サイズはMから試して低音とノイキャンで決める
サイズは耳の見た目ではなく、着けて音で決めます。Mから始めて、ゆるければL、きつければSやSSに替え、低音が一番安定して痛くないサイズを選びます。人の耳の穴は左右でも大きさが違うので、右M、左Sのように別のサイズを付けても問題ありません。
2. イヤホンを少し回して、耳の穴がふさがる位置に合わせる
3. 低音が出ているか、ノイズキャンセリングが効いているかを聴く
4. 低音が薄い、外の音が入るならLへ、痛いならSへ替えて、2と3をやり直す
5. 決まったサイズで30分聴き、痛みが出なければそのサイズで決まり
ソニーの案内では、ヘッドホンを回転させてイヤーピースで耳穴をしっかりふさぎ、装着感のよい位置に調整する、と説明されています。差し込む深さと角度でも密閉は変わるので、サイズを替える前に位置を直してみてください。
すぐに決めきれないときは、1週間ほどかけて試します。ながら聴きガイドの案内でも、1週間程度くり返して一番疲れない物を選ぶ、としています。同じMでもメーカーごとに大きさは違うので、別の製品に替えたときは、もう一度この手順をやります。
替え時はフォーム2〜3か月、シリコン半年〜1年
イヤーピースは消耗品です。フォームは2〜3か月に1回、シリコンは半年〜1年に1回が交換の目安で、ゆるくなった、破れた、変形した、ベタつく、硬くなった、押しても戻らない、このどれかが出たらその前でも替えます。
外すときは、傘を引っ張らずに、根元をつまんでねじりながら引き抜きます。ソニーの案内でも、無理に引っ張らず、ねじりながら引き抜くとされています。付けるときは、ノズルにまっすぐ差して奥までしっかり押し込み、傘を軽く引いて抜けないことを確かめます。斜めに付くと外れて耳の中に残ることがあります。
シリコンは、外してぬるま湯で洗います。中性洗剤を薄めて使うときは、洗剤が残らないようによくすすぎます。やわらかい布で水気を取り、完全に乾いてから付け直してください。イヤホン本体には水をかけないでください。フォームは洗えないので、汚れたら交換です。
まず付属の3サイズを付け替えるところから
イヤーピースとは、イヤホンの先で耳の穴をふさぎ、音、遮音、固定の3つを受け持つゴムの部品です。サイズは低音とノイズキャンセリングの効きで決め、素材は迷ったらシリコン、遮音を強めたいならフォーム、この2つで音の不満のほとんどは片づきます。
まず、今のイヤホンの箱に残っているS、M、Lを順に付け替えてください。いつも聴く曲で、低音が一番安定して痛くないサイズが答えです。左右で違うサイズになっても構いません。
それでも低音が薄い、外れる、痛いのどれかが残るなら、素材か形を替えます。買い足すときは、ノズルの直径と充電ケースのふたの2つだけ先に確かめれば、付かない、入らないで困ることは防げます。替えたあとは、フォームなら2〜3か月、シリコンなら半年〜1年で新しい物にします。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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